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記事: ARTIDE 志水堅二

ARTIDE 志水堅二
ARTIDE

ARTIDE 志水堅二

1971年 愛知県名古屋市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。
多数の個展、グループ展に参加する志水の作品には、桜や富士山といった日本画の古典的要素が多く取り入れられているが、他にはないユニークさを備えているのは、主役として描かれるブリドリーの存在に他ならない。
多くの古い玩具を描いているうちに時間の象徴として誕生したブリキの鳥「ブリドリー」。可愛い玩具としてだけではなく、鳳凰やや八咫烏などにも変幻自在にさまざまな姿で描かれている。
唯一無二のブリドリーの世界を描き出す作家である。

 

ART×TIDE


Wallet Shoulder-SHIMIZU KENJI 「BRIDOLLY」
Multi Compact Wallet-SHIMIZU KENJI 「Surfing Bridolly」

 

なぜ表現しはじめたのか

僕の実家は看板屋でしたので家の半分は作業場で木材とペンキやシンナーの匂いの中で育ちました。幼少期は作業場に落ちている木の端材などを使って何かを作って遊び、小学生の頃は近所の絵画教室で絵を描いたり工作をしたりして遊びました。
高校に入り美術部には入らず、銅版画、塑造、オブジェ制作などをする美術予備校へ通いました。遊びのつもりだったのですが気がつけばそのまま美大受験をする事になり美大に入学、卒業後そのまま美術が生業となりました。
人生のほとんどの時間モノづくりをしてきましたがそれは表現ではないと思います。
培った技術を使って何かを表現しなくてはいけないと気づいたのは大学に入ってしばらくしてからです。大人になってから表現したくて始めた人は違うでしょうが、美大出身者の多くは表現したくて美術を始めたわけではなく、大学に入るためにデッサンなり塑像なり美術をやり、大学に入ってから表現することを学ぶ人が多いと思います。

 

自分の中で表現とはどういうことか

自分にとって表現とは、他者への伝達、問題定義、美術への挑戦、自己確認などのために作品を作ることだと思います。特に大義はありません。誰のためでもありません、基本的には自分のために好きでやっているだけです。
自分の作品で人の心、感情が少しでも揺れてくれるであればそれはもちろん喜びですが、人の心を動かしてやろうとかアートの力で誰かを救おうとか、何かを変えてやろうとか思ってやっているわけではありません。それはおこがましい事で正直、美術にそんな力があるとも思ってませんが、心に響く人達がいることも確かで、パワーになる事もあります。ただ僕にとって表現とはもっと個人的なこと。
「自分がこの時代に生きた痕跡を残しておきたい」ただそれだけのような気がします。

 

作品で何を表現したいか

自分の作品のコンセプトは「時間・記憶」です。そのコンセプトをブリキの鳥のおもちゃをモチーフに表現しています。誰かが昔遊んでいたであろう記憶の染み付いた錆びたブリキの鳥を描いたのが始まりです。描きながらブリキの鳥は経年により錆び、朽ちて最後は砂に混ざり大地に帰るイメージを想起させました。
さらに兼ねてから作品に「自分の生きている時代」を取り入れたいと考えており、日本独特のキャラクター文化というものを取り入れることにしました。そして生まれたのがブリキの鳥の「ブリドリー briki+dolly(人形)」です。現代のキャラクターと日本の古美術など、現代と過去を融合させ独自の世界観を構築しています。

 

作品に向かい合う時間以外は何を気にしている?

作品制作をしていないときは次に何を制作、発表するか、展示プランなどを考えていることが多いです。普段は大体他の趣味工作をしていますがそんな作業をしながら考えています。思いついたらすぐに書き留め、制作に必要な材料や業者などの情報をネットで検索するのですが、検索が止まらなくなり何時間も調べ続ける事がよくあります。
降りてくるというほど大袈裟では無いですが思いつく時は突然で、忘れてしまわないうちに行動するためそれまでしていた作業を放置してしまいます。おかげでスタジオ内にはやりかけの仕事が常に散乱しているといった感じです。

 

TIDEともの化する表現に何を期待する?

自分は安定するとすぐに新しいものにチャレンジ、実験、研究するタイプの人間なのでTIDEさんの現状打破、チャレンジングな姿勢にはとても共感します。
「もの化」は自分をものに反映させる、考えを具現化するという事だと思いますが、ダンサーやシンガーと違い、美術作家としては通常の事ですが、ただそれをあるプロダクトに落とし込むと言う作業はデザイナーの領域になります。デザイナーと違い美術作家にはクライアントがいません。誰かから制作の指示がある訳ではなく自分が表現したい事を好きな形で表現していますので今回のTIDEさんとの仕事は普段とは違うデザイン的な考え方を必要とし、とても興味深く様々な発見がありました。双方の持てる技術をフュージョンさせたものづくりはお互いの可能性を広げる事になると考えます。

 

表現の未来はどこにあるのだろうか

文章、音楽、演技、美術、舞踏、映画、写真、CG等、現代の表現方法は無数にあります。各分野で新しい表現方法、手法、技法、テクノロジーなどが日々生まれており、ジャンルの垣根を越えて融合し、新しい表現方法も生まれています。
SNSでの発言、画像、動画など自己アピールできるツールも増え、世の中は表現をする事に前向きで大切だと感じているのだと思います。
近年、オリジナル、パーソナル、個性というキーワードが増え、多くの人が個を主張するようになってきました。表現の未来は明るいと思います。我々美術作家も埋もれないよう、時代の変化と共に色々なものを感じ、吸収し、チャレンジし、変化していかなくてはなりません。

 

ARTIDE Vol.2 の原画と作品に込めた思い

<原画制作について>
今回の作品はオリジナルキャラクターの名前「BRIDOLLY」をそのままタイトルにしました。
ブリドリーが動力のゼンマイをもって立っている絵です。基本に帰るといいますか、初心を思い出すといいますか、今まで色々な形に変化してきたブリドリーですが、今回は初めてブリドリーを描き始めた時の事を思い出しながら制作しました。

はじめは実際の鳥の玩具を見ながら描いていましたので、現在とはフォルムも動きも違い、表情もないものでした。もともとモチーフを見ながら描くオーソドックスな具象タイプだった自分にとってイメージで描く事は越えづらい壁でした。
もともと安定を好まない性格で縛られるのも嫌いなのですが十数年続けてきたスタイルを変えるというのはいままで応援してくれた方たちの事も気になり、さすがに躊躇しました。そんな時思い出したのはヴィスコンティの映画「山猫」の台詞「変わらないでいる為には変わらなければいけない」。自分の場合、死ぬまで描き続けるには変化を恐れず自分の心に素直に創り続ける事が大切という事なのではないか。芯がしっかりしていれば表層がどう変わろうと関係ない。という考えに行きつき壁を越えることができました。

自分は表現に日本独自のキャラクター文化を取り入れています。子供のころから一度も途切れずアニメ、漫画等に触れてきた自分にとってそれらの要素が作品に反映することは必然なのですが、あまりアニメ感、漫画感のある作品は発表してきませんでした。
未発表のもので近年ほぼ絶滅してしまったセル画に描いたドローイングがあります。これは技術の進化と共に不必要になった素材を美術作品として再生したいという想いから制作しましたが、今回は漫画のスクリーントーンに着目しました。昔から漫画家がグレー等を表現する為に切り貼りするものですが昨今は漫画もデジタルになりこれもまた絶滅しつつあります。日本では海外のようなカラーの漫画が定着せず、モノクロが基本です。そのおかげもあり、モノクロ漫画で多彩な表現をするためにスクリーントーンは日本独自の進化を遂げました。そんなスクリーントーンの要素を作品に使いたいという思いは以前からありましたが、タイミングがなくなかなか着手出来ずに十年、今回ウォレットショルダーのデザインをさせていただけるということでようやく作品と合わせて着手してみることにしました。
トーンとは別に漫画の「印刷」という要素も表現したいと考え、今回は新技法も研究しました。筆跡がないスタンプのような表情を出すためにマテリアル、技法等の試行錯誤、実験を繰り返しました。版画のような表情ですが版はありません。コントロールも難しく偶然できる表情を見ながら制作していきます。今後もMANGAシリーズとして展開していく予定です。

<ショルダーウォレットについて>
モノクロの漫画をイメージし、革色はモノトーンの組み合わせ。
表面のパッチワークにはスクリーントーンの代表柄、ドット、ストライプ、集中線などを、裏面には漫画の1ページをシルクスクリーンで施しました。手刷りの為かすれなど個体差がありますが漫画の印刷という要素を表現したものです。

 

略歴

1971年
愛知県名古屋市生まれ
1995年
第29回 かわさき市美術展 最優秀賞・市長賞受賞
1996年
第1回 北の大地ビエンナーレ大賞展 佳作(賞候補)
1998年
第4回 美の予感展  日本橋 京都 大阪 横浜・髙島屋
2000年
第35回 昭和会展 銀座
2001年
新世紀をひらく美展 日本橋 横浜 大阪 京都
2002年
志水堅二作品展 名古屋
2003年
志水堅二展 銀座・ギャラリー和田
2009年
志水堅二展 ~語~ 銀座・ギャラリー和田 
2010年
KENJI SHIMIZU EXHIBITION‘BRIDOLLIES’ 東京・京橋画廊​
2011年
KENJI SHIMIZU EXHIBITION2011‘Flowers× Bridollies’花鳥 横浜・髙島屋
2012年
KENJI SHIMIZU EXHIBITION 2012 - 3 DIMENTIONAL WORKS - ​東京・京橋画廊​
2013年
アートフェア東京‘志水堅二展-FRAPPING- 東京・東京国際フォーラム 
志水堅二展 Merry Bristmas 東京・京橋画廊
2014年
アートフェア東京‘志水堅二展 東京・東京国際フォーラム 京橋画廊ブース
KENJI SHIMIZU EXHIBITION 2014「SEASONS」 東京・京橋画廊 
~東京藝術大学大学院 中島千波研究室修了生~「次代を担う作家五人展」 大阪・あべのハルカス 
「Bar BRIDOLLY」 東京・京橋画廊
2015​年 
志水堅二絵画展 池袋 東武 
「Art Wonder​land​」 東京・日本橋三越 
東京藝術大学大学院 中島千波研究室修了生「次代を担う作家五人展」 広島・福屋)
「志水堅二の夏 Bridolly見参」 福山 天満屋
「​BRIDOLLY CAFE​」 ​東京・京橋画廊​
2016​年
志水堅二 絵画展「BRIDOLLIES」 東京・池袋東武
UROKOKAI (東京・京橋画廊) 以後毎年
BS​フジ 「ブレイク前夜~次世代の芸術家たち~」に出演
「人気作家が描く短冊展」そごう千葉店
志水堅二展 ​BRIDOLLY artbook & miniature​ 東京・京橋画廊 
2017年 ​
「DYNAMIC 豪!50!GO!-NAGAI50thANNIVERSARY」 東京・池袋西武 
志水堅二展「-龍-DRAGON」 東京・京橋画廊
志水堅二展「All-Star Bridolly」 東京・京橋画廊
画家たちによる吉祥展  大阪・京都 髙島屋
2018年
画家たちによる吉祥展  大阪 髙島屋
​志水堅二展​​〜継往開来〜​​ 山口・宇部井筒屋
志水堅二展​​〜舞利鳥爛漫〜​​ 山口・山口井筒屋
志水堅二展ブリキの鳥のブリドリー 東京・銀座三越
志水堅二展 The World of BRIDOLLY 東京・新生堂
2019年
大豪華展 大阪・高島屋
ART TOYAMA2019 富山・富山大和
ART TAIPEI 台北
現代作家カレンダー作品展明日のしるべ 大阪・高島屋大阪店
NEXT 次代を担う画家たち 札幌・東急百貨店 / 金沢・大和香林坊店
GRADATION代官山 東京・TENOHA DAIKANYAMA 
志水堅二展 富嶽舞利鳥図 東京・京橋画廊
2020年
阪急×アートコレクターズ ニュースター達の美術展  大阪・阪急うめだ店
志水堅二展 Drunken Life , Dreamy Death 酔生夢死 東京・四季彩舎
志水堅二展 現代花鳥 Contemporary Birds and Flowers 東京・銀座三越
志水堅二展 BRIDOLLY monochrome 東京・新生堂
J-POP アート展 (広島・広島三越)
2021年
富士・桜花の宴 展(京都・京都高島屋)
志水 堅二 展 -舞利鳥色鳥々-  ブリドリーイロトリドリー(大阪・高島屋大阪店)
「アニマル展 animal exhibition 2021」(東京・Bunkamura Gallery

 

 他、個展・グループ展・アートフェア等 多数

 

 

<ARTIDE Vol.2 特設ページはこちら>
https://tideisturning.com/pages/artide-vol-2

 

<ARITDE Vol.1 商品ページはこちら>
https://tideisturning.com/collections/artide/products/multi-compact-wallet-shimizu-kenji

 

<ARTIDE Vol.1 Makuakeページはこちら>
https://www.makuake.com/project/artide/

 

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ARTIDE 小松本結
ARTIDE

ARTIDE 小松本結

1993年三重県生まれ。京都造形芸術大学卒業。アメリカ・デトロイトの自動車工場で偶然生まれた人工鉱物デトロイトアゲートの模様に魅せられ、高い写実絵画の技法と独自の描法で描かれるデトロイトアゲートの模様を組み合わせたインパクトのある作品で定評がある。近年では都内のギャラリーを中心に作品を展開し続けている。   「ART×TIDE」 Wallet Shoulder-KOMATSUMOTO YU...

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ARTIDE 木原千春
ARTIDE

ARTIDE 木原千春

1979年山口県生まれ。幼少期から画家を志し、高校を中退後、独学で絵を描き続ける。1999 年ギャラリー伝(東京)にて初個展、数々の個展を開催、グループ展に参加。「生命の気力」を、動物や昆虫など自然界のモチーフを使って色と形とストロークを生かし、描く。道具だけでなく手や肘や足など体をつかってダイナミックに描く作品群は人々に強烈な印象を与える。   「ART×TIDE」 Wallet Sho...

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