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記事: ARTIDE 小松本結

ARTIDE 小松本結
ARTIDE

ARTIDE 小松本結

1993年三重県生まれ。
京都造形芸術大学卒業。
アメリカ・デトロイトの自動車工場で偶然生まれた人工鉱物デトロイトアゲートの模様に魅せられ、高い写実絵画の技法と独自の描法で描かれるデトロイトアゲートの模様を組み合わせたインパクトのある作品で定評がある。
近年では都内のギャラリーを中心に作品を展開し続けている。

 

「ART×TIDE」

Wallet Shoulder-KOMATSUMOTO YUI 「flow」
 
 

なぜ表現しはじめたんだろう

物心ついた時から絵を描くことが好きで、絵を描かずにいる将来が想像できず美術系の高校及び大学に進学しました。

もっとも、初めから絵によって何か世間に訴えたい主義・主張等があったわけではなく、ただ絵を描く事が大好きだという気持ちだけで描き続けていました。

しかし、大学1年生の時、突然『自分の顔が醜い、歪んでいる』という強迫観念に囚われ、外出ができなくなり、心療内科で身体醜形障害と診断されました。苦しみながら闘病を続ける中、私の制作のテーマは半ば必然的に『容姿への関心』に傾いていきました。

現在、闘病を続けて8年目になります。多かれ少なかれ誰しもが持ち合わせる『容姿への関心』をテーマに作品を作り続ける中で、最近では、初めて“心からの”表現ができているように感じています。

私の「表現し始めたきっかけ」は、身体醜形障害の発症及びその後の闘病生活にあるといえるかもしれません。

 

作品で何を表現したいんだろう

作品の一番の特色は、たらし込みの技法を用いて作った模様です。この模様は「デトロイトアゲート」という人工の鉱物をモチーフにしています。

かつて自動車の塗装が手作業で行われていた頃、作業現場のあちこちに飛散したエナメルの塊を除去しようとした際に、年月を経た塗料の層が美しい模様になっていることが発見され、その模様が瑪瑙に似ていることから「デトロイトメノウ(Detroit agate)」と呼ばれ人工の鉱物として流通しました。

廃棄される予定であったものが価値を持ったそのストーリーに私はとても心打たれ、『再生』の権化のようなこの人工鉱石をモチーフとして用い、闘病中何も出来なかった空白の期間を、作品を通じて昇華して行きたいと思いました。

誰しもが持ち合わせる『容姿への関心』を表現の軸とし、デトロイトアゲートの模様と組み合わせた作品を通じて、『自分を愛する事とはどういうことか』を観る側に問いかける作品を作って行きたいと思っています。

 

作品に向かい合う時間以外は何を気にしているだろう

実際に手を動かしている時間以外は、今後の制作について考えながら参考になりそうな本、画集を読んだり、使えそうな技法や画材等がないかネットで調べものをする事が多いです。 集中が切れるとプツッと電池が落ちたように動けなくなるタイプなので、そうなってしまった日は一日中愛犬を眺めたりゆるく過ごしています。

 

表現の未来はどこにあるのだろう

今を生きる私達の思考及び行動がこれからの表現の未来を形作って行くのではないかと考えます。 現代までは限られた職業の方しか『表現』することは叶いませんでした。 しかし今は違います。SNSが普及し誰でも気軽に『表現』することができるようになったり、ARTIDEで色鮮やかな絵画が革製品と組み合わされたり…新しい表現方法がどんどん生み出されています。これから表現の未来はもっともっと幅広く豊かになるでしょう。私も常に新たな技術や考え方に目を向け、表現の未来を作る1人になれたらと思います。

 

TIDEともの化する表現に何を期待するだろう

The TIDE is turning -形勢を逆転する-』というブランドコンセプトには、上述した私の制作コンセプトに通じる部分があるように思われ、強いシンパシーを感じています。

そのようなコンセプトを体現するような表現を行い、逆境にいる人々の気持ちに寄り添いたい。そんな思いで今回の第二弾参画アーティストへの応募を決断しました。

様々な要因により人生のどん底にいて、先の見えない不安に押し潰されそうな方がこの国には沢山います。コロナ禍の現在だと尚のことでしょう。

今はどん底でもどうか大切なものを諦めてしまわないように、という思いを込めて本件のコンセプトに沿った製品の作成に携われたらと考えました。

 

今回の原画と作品に込めた思い

普段はデトロイトアゲートをモチーフに制作しているのですが、今回はいつもの渦模様を『潮』に見立てて”流れ”を意識しながら制作しました。 喜怒哀楽、様々な感情が波のように押し寄せる日々の中で、自ら姿勢を整え『今日』を生き抜く人の力強さを描きました。

 

略歴


【展示歴】

2013年 「scope展」アートギャラリー北野(京都市)
2014年「科学と芸術の交差点—サイエンスとアーティストのペアによる絵画展—」京都大学総合博物館(京都市)
2016年 「京都造形芸術大学 卒業展」京都造形芸術大学(京都市)
2018年 「SPURT展」京都造形芸術大学(京都市)
2020年 「FACE2020」損保ジャパン日本興亜美術館(新宿・東京)
2021年 「ART POINT Selection I」Gallery ART POINT(銀座・東京)
2021年 「OneFACE展」ロイドワークスギャラリー(湯島・東京)

【受賞歴】

「FACE2020 損保ジャパン日本興亜美術賞展」入選

 

<ARTIDE Vol.2 特設ページはこちら>
https://tideisturning.com/pages/artide-vol-2

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ARTIDE 藤川さき
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ARTIDE 藤川さき

1990 年 東京都生まれ2013 年 多摩美術大学絵画学科油画専攻 卒業身の回りの環境や対話から生まれた興味や疑問をもとに、作品制作を行なう。主に人の意思に通じた絵画表現を多く発表する。2020年秋に開催された、他者の遺品に描写を重ねた個展「痕跡への加筆」以降は、「目の前に生きている人々」に対する興味がより一層強まり、現在はその人々が生きる姿を作品のパーツとして構成し、世の中のかたちとして...

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ARTIDE 志水堅二
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ARTIDE 志水堅二

1971年 愛知県名古屋市生まれ。東京藝術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。多数の個展、グループ展に参加する志水の作品には、桜や富士山といった日本画の古典的要素が多く取り入れられているが、他にはないユニークさを備えているのは、主役として描かれるブリドリーの存在に他ならない。多くの古い玩具を描いているうちに時間の象徴として誕生したブリキの鳥「ブリドリー」。可愛い玩具としてだけではなく、鳳凰...

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